Activities

Key takeaways  JIAM・NRI共催イベント「中小型株の可能性ー 大手/独立系資産運用会社の視点」

2025.11.17 (Mon)

当日の要約を下記の通り掲載いたします。

イベント詳細はこちら:https://jiam.tokyo/jp/activities/4089/

 

Key takeaways

  1. グロース市場の基準変更は2030年3月以降に適用 東証はグロース市場の上場維持基準(出口基準)を厳格化するが、既存企業の準備期間確保のため、適用開始は2030年3月以降。新規上場基準(入口)は維持される。機関投資家はグロース企業に対し、売上増加だけでなく、年2割から3割の継続的かつ加速的な成長率を求めており、東証もこれに応えるため、総裁直轄の「上場会社サポートグループ」を設立し、成長支援に乗り出している。
  2. 日本の新興運用会社(EM)の圧倒的不足と重要性 日本の中小型株市場における独立系・新興型運用会社(EM)の数は、金融庁登録リスト上でわずか40程度であり、ニューヨークの年金システムに登録されている1,000社超のブティック運用会社と比較して極めて少ない。EMは運用額が小さいため、中小型企業に対し深く厳しいエンゲージメントが可能であり、大規模な金融機関よりも高い超過リターン(エクセスリターン)を生み出す傾向がある。
  3. エンゲージメント成功の鍵は企業の「変わる意志」 中小型株へのエンゲージメントが成功する最大の要因は、マネジメント層の誠実さと、企業が変わる意志を持っていることだ。対話においては、外部から課題を指摘する「外科医的」アプローチではなく、企業自身に問題意識を持たせ成長を促す「精神科医的」アプローチが重視される。中小型株は関係者が少なく意思決定が早いため、エンゲージメントを通じて会社を変えやすい。
  4. グロース企業の計画達成率の低さと集中投資の必要性 上場企業全体(ラージキャップ)の会社計画達成率が平均約100%であるのに対し、グロース市場企業の達成率は平均で約70%と低い実態がある。投資家は対話を通じて、企業に長期的な企業価値創造に集中させ、この低い計画達成率を改善することを目指している。運用額100億円程度のEMが時価総額200億円程度の企業に対し、海外市場調査や深い議論を実施する具体的なサポート事例も紹介された。
  5. 未上場企業へのクロスオーバー投資によるアルファ追求 中小型株運用で培ったリサーチ力を活かし、上場前のレイターステージ企業(未上場)への投資(クロスオーバー)に注目が集まっている。上場市場に精通した運用会社が未上場企業に関わることで、上場後のIRやESG対応など、投資家との信頼関係構築に必要な準備を指導する「バッドコップ」役として価値を発揮できる。ただし、未上場投資は案件発掘(ソーシング)の難しさや流動性の低さといった課題も抱えている。

 

 

 

Recommend