札幌で開催された投資コミュニティラウンドテーブルでは、札幌が「金融・資産運用特区」に指定されたことを受け、北海道におけるGX(グリーントランスフォーメーション)とDX(デジタルトランスフォーメーション)を核とした投資機会とエコシステム構築の可能性を探る重要な議論の場となりました。国内外の多様なプレイヤーが集結し、地域経済の活性化に向けた強い期待と具体的な戦略が共有されました。
- 共催:JIAM、札幌市、札幌証券取引所
- イベント名:Investment Community Roundtable in Sapporo – Vol.1, August 2025
- 日時:2025年8月22日 16時〜18時55分
- 場所:札幌証券取引所 2階会議室
- 協力:Team Sapporo-Hokkaido
- 後援:野村フィデューシャリー・リサーチ・コンサルティング

Key takeaways
国内の主要投資機関
- 札幌出身者として、「北海道がGX・DXの文脈で世界的に注目を集めていることが喜ばしい」
- 「広大な土地、送電網、そしてラピダスのようなグリーン電力を必要とする産業が存在するため、北海道が発電所の適地であり、歴史的な投資機会である」
- 「札幌には高度な人材が埋もれている」「ファンド金融を通じて札幌の産業を育てる、札幌人材から育てるという、長期的な取り組み(10年スパン)を目指す」。
- 北海道大学をはじめとする道内アカデミアから「優れた技術シーズを発掘し、創業段階から投資」している。
- 北海道でもアカデミア発の成功事例を創出し、「地域のテクノロジーエコシステムを構築したい」。
- 「日本のベンチャーキャピタル業界はものすごい日本しか見てなくて、世界と比べて取り残されている」「北海道からグローバルな投資の流れをリードする可能性」に期待。
- 国内のベンチャーファンドへのアクセスを広げるためには「投資家アクセスの拡張性(49人規制など)が課題であるため、セキュリティトークン(STO)活用を検討」。
地域金融機関
- 「北海道の特区選定を大きなチャンスと捉え、GX・DX関連の投融資目標を掲げている」
- 「地域課題(人口減少、人手不足など)に対し、スタートアップ連携やAI・先端技術を活用して産業構造を変革し、持続可能な地域社会を構築することを目指している」。
- 北海道のスタートアップの課題として「ディープテックが多く資金と時間がかかること」、「IPO事例が少ない」。「金融資産特区が道外や海外からの資金・人材呼び込みの好機である」
アセットオーナー
- 「インパクト投資が期待リターンに届かず採用を見送った」経験があり、「社会貢献と経済的リターンの両立の難しさ」が課題である。
- 「国内の再生可能エネルギー投資を全国で展開しており、札幌・北海道における同様の取り組みがあれば、地域を絞った投資を検討する可能性がある」
- 「社会課題解決のため、運用会社や大学などとの連携を推進し、特にインパクト投資を重視している」
事業会社・スタートアップ
- 水素ステーションを運営しているが、FCV車両の少なさから「現状はすべて大赤字」であり、「水素事業の採算化(経済性担保)が最大の課題」である。
- 「GX推進には水素の経済性と政策支援(カーボンプライシングやカーボンクレジットなど)が不可欠である」
- 「スタートアップ育成だけでなく、雇用を生み出す経営者の育成」が必要。
- 「北海道が『課題先進地域』であるからこそ、その課題を解決する先進的な技術や事業を生み出すチャンスがある」とし、「地元企業が大企業のサプライヤーとして対等に連携できる力をつけるべき」。
海外からの視点
- 「日本の脱炭素化投資を非常に重視し、特に太陽光パネルや蓄電池建設に重点を置いている」
- 「日本やアジアでのビジネス展開を計画しており、パートナーを探している」
学術機関・大学発VC
- 「北海道の豊かな人材と自然に無限の価値創造の可能性」を見出し、エコシステム構築を通じて互いの価値を高めることを目指す。
- 「大学は多くの研究シーズを持つものの、それを収益化する術(商品化、営業企画、販売)が欠けている点が課題」
JIAM。
- 今回の会合を通じて、「東京ではできないこと」が北海道では可能であるという認識を改めて共有できた」と述べ、人材や自然の豊かさを活かしたエコシステム育成の必要性を強調しました。